禅と共に、生きる力を育む。

長岡禅塾について

  1. 長岡禅塾について

長岡禅塾は、昭和14年(1939)に開かれて以来、80年以上にわたり学生や社会人に禅の学びと生活の場を提供してきました。ここは宗派に属する寺院ではなく、公益財団法人として設立された、日本でも特異な禅塾です。その目的は、禅による人格形成と社会への貢献にあります。

創設者である岩井勝次郎(岩井商店〈現・双日〉の創業者)は、近代日本を代表する実業家でした。投機を嫌い、信頼を重んじ、事業を「世界の中の日本」という大きな視野で展開する一方、教育や社会福祉にも力を注ぎました。実業の経験を通じて「真に社会に資する人材を育てるには、精神的基盤が不可欠である」と考え、その支柱として禅を選びました。

塾生は大学に通いながら朝夕の坐禅や作務を実践し、学業と修行を両立する寄宿生活を送ります。この生活は、自己を律し、協働を学び、社会の中で責任を果たせる人材を育てることを目的としています。これまでに三百名を超える卒塾生が社会に巣立ち、学問・経済・政治・文化など幅広い分野で活躍してきました。また、坐禅会や体験入塾などを通じ、一般の人々にも門戸を開き、禅の実践を広めています。

創設以来一貫して、「禅を通じて自らを律し、社会に貢献できる人間を育てる」という理念が守られており、その精神は今も長岡禅塾の営みの中に息づいています。


設立趣意

MISSION

大乗禅ノ義塾ヲ興シ、
斯道体得シテ、
以テ社会人心ヲ啓発、
教理セントスル人格者ヲ養成シ、
且ツヌ、諸方ヨリ来ッテ

参究セントスル有志ノ為メニモ、
ヲ設ケテ、其ノ便二備ヘントス。

現代語訳(要旨)
大乗禅の道場を開き、この道を体得することで
社会の人々の心を啓発し導く人格者を養成する。
また、全世界から禅の参究を志す人々にも
開かれた場として便宜を提供する。

※ 昭和10年(1935) 創設時の「設立趣意書」より


塾長挨拶

GREETING

このたび新しく長岡禅塾塾長に就任致しました平塚景堂と申します。

僧侶ではない一般の方が禅に触れる機会は、残念ながらそう多くはありません。その理由として、禅の修得が精神的にも肉体的にも困難であると考えられているからです。

しかし、一方では鎌倉、室町時代を通じて、禅が日本文化に決定的な影響を与えたことも事実でしょう。現在「日本的、和風」と呼ばれるすべての様式に禅の精神が及んでいます。したがって、この国際化社会において、日本人としての自己の在り方を見つめる最も端的な方法が坐禅であるといえましょう。

この信念に基づき、「長岡禅塾」は若い学生を始め広く一般の方々に開放された素晴らしい施設であると確信する次第であります。

公益財団法人 長岡禅塾 塾長
(臨済宗大本山相国寺塔頭 養源院住職)

平塚 景堂


法人概要

COMPANY INFO

名称公益財団法人 長岡禅塾
理事長岩井 則雄
設立1936年(開塾は1939年)
所在地京都府長岡京市天神2丁目16−1
TEL075-951-1010
事業内容・禅の修行・研鑽を通じた人材育成及び教育事業
・学生を対象とする寄宿事業
・坐禅会、参禅体験、講話・講習等の開催による普及啓発事業
・禅及び関連学術分野に関する調査・研究並びに図書資料の収集・提供事業
・国際的な交流を含む禅文化の普及・振興事業
定款定款・規程
公開資料

沿革

HISTORY

1919年

創設者・岩井勝次郎が神戸・御影に在家禅道場「伝芳庵」を開設

1933年

京都・長岡に土地を取得し、禅塾設立を計画

1935年

設立趣意書を作成、同年に創設者・岩井勝次郎が逝去

1936年

財団法人「長岡禅塾」を設立、遺志を継いで次男・雄二郎が理事長就任

1938年

禅堂・方丈・寮舎が竣工

1939年

開塾式を挙行、初代塾長に梅谷香州老師が就任

1950年

二代目塾長に森本省念老師が就任

1972年

三代目塾長に半頭大雅老師が就任

2014年

四代目塾長に北野大雲老師が就任

2025年

五代目塾長に平塚景堂老師が就任


運営基盤

FOUNDATION

長岡禅塾は、公益財団法人として独立した運営を行いながら、産業界からの支援を受けて存続してきました。その中心となるのが、1953年に発足した「最勝会」です。

最勝会の名称は創設者・岩井勝次郎の戒名「最勝院大徹無為居士」に由来し、彼が残した岩井商店にルーツを持つ関連企業によって組織されました。単なる寄付団体ではなく、創設者の理念を受け継ぐ後援組織として、長岡禅塾を長年にわたり支えてきました。

この支援により、塾生は寮費や食費の負担なく学業と修行に専念でき、施設の修繕や耐震補強も継続的に行われています。産業界と教育が連携するこの仕組みは、長岡禅塾の公益的使命を支える堅固な基盤となっています。

最勝会加盟企業(五十音順)


アクセス

ACCESS

長岡禅塾は、京都と大阪の中間に位置する長岡京市にあり、周辺には大学も多く集まる京阪神エリアから非常にアクセスしやすい環境にあります。静かな自然に包まれながらも、都市部から気軽に訪れることができます。

  • 京都府長岡京市天神2丁目16−1
  • 電車でお越しの場合
    「JR長岡京駅」または「阪急長岡天神駅」より徒歩約10分。長岡天満宮の西隣に位置しています。
  • お車でお越しの場合
    名神高速道路 「大山崎IC」「長岡京IC」より 約10分。
    禅塾前に駐車スペースは2台程度ございます。満車の場合は、恐れ入りますが周辺のコインパーキングをご利用ください。

施設案内

伝統の佇まいと自然に囲まれた、禅の学びの場 長岡禅塾は、昭和初期に建てられた木造建築を今も受け継ぎ、禅堂や方丈、寮舎といった本格的な施設が整った歴史ある禅の道場です。禅堂は広々とした瓦敷きの空間で、朝夕の坐禅を支える厳か […]

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禅塾の歴史

創設者・岩井勝次郎の歩み 岩井商店の創業と発展 岩井勝次郎(1862–1935)は、現在の総合商社「双日」へとつながる岩井商店を創設し、明治から昭和初期にかけて活躍しました。神戸の外国人居留地に拠点を構え、欧米との直接貿 […]

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